
10代の頃は生理になると、強いお腹の痛みをよく感じていたのに、20代になったら症状が軽くなったような……。こうした年齢による生理痛の変化を感じた経験がある方は多いかもしれません。実は生理痛の症状や重さは年齢によって変わってくるのです。今回は、生理が起こる仕組みをおさらいしながら、年代ごとの生理痛の特徴を解説していきます。
目次
年齢で変化する女性の体と生理痛
まずは、生理痛が起こる仕組みをここで簡単におさらいしておきましょう。
生理周期は、エストロゲン(卵胞ホルモン)とプロゲステロン(黄体ホルモン)という2つの女性ホルモンによってコントロールされています。これらのホルモンの分泌量が、毎月のリズムを保って、変動することで生理が訪れるのです。ところが、ストレスなどでホルモンバランスが乱れると自律神経に影響し、生理中の不調、つまり生理痛が起こる原因になります。たとえば、下腹部痛や頭痛、腰痛、吐き気、下痢、貧血といった身体的なものから、イライラ、落ち込みなど精神的なものまで、症状は多岐にわたります。
また、女性ホルモンは毎月の生理周期のなかだけでなく、年齢とともに変動します。特に女性の生涯に大きく関わるのがエストロゲン。エストロゲンの分泌量が増減することで、10代の「思春期」、20~30代の「成熟期」、40代から閉経までの「更年期」を通じて女性の体は変化し、生理痛にも影響を及ぼします。
では次の章からは、年代ごとの生理痛の特徴を見ていくことにしましょう。
10代(思春期)の生理痛
10代など若い女性に多いのが、子宮の発達が未熟で子宮口が狭いことで起こる生理痛。そのため、経血を押し出す際に、子宮が強く収縮して、下腹部などに痛みを感じやすくなるのです。
また、10代はエストロゲンの分泌が不安定なため、強い生理痛が起こる「月経困難症」も多く見られます。10代の月経困難症は、病気が原因ではない場合がほとんどですが、「学校に行くのがつらい」「起きていられない」といった日常生活に支障をきたすような重い症状続く場合は、我慢せずに婦人科での診察を受けましょう。
20~30代(成熟期)の生理痛
20~30代はエストロゲンの分泌が順調になり、生理周期が安定。子宮や卵巣が成熟期に入り、女性の体は妊娠・出産に適した状態になります。この年代になると、子宮の発達や出産経験によって子宮口が広がり、生理痛が軽くなる人もいます。一方で、仕事など社会的責任が増える年代でもあり、ストレスや不規則な生活などによって体に負担がかかり、ホルモンバランスが乱れやすく、生理痛が悪化する場合もあります。
そのほかに気をつけたいのが、子宮内膜症や子宮筋腫などの婦人科疾患。これらの病気は20~30代に多くみられ、重い生理痛を引き起こします。たとえば、子宮内膜症になると下腹部痛などが生じ、生理のたびに痛みが強くなっていきます。日頃から生理痛の症状に注意し、検診を受けておくようにしましょう。
40代~閉経(更年期)の生理痛
40代半ばからは徐々に更年期に入り、閉経に向かって体が変化していく時期。更年期とは、閉経をはさんで前後5年ほどの計10年間を指します。この時期は、エストロゲンの分泌量が急激に低下して、ホルモンバランスが崩れ、体や心にさまざまな症状が生じるようになるのが特徴です。代表的な症状として、身体面ではホットフラッシュ(ほてり)、のぼせ、頭痛、肩こりなど。精神面では、イライラ、不安感、憂うつ感などが挙げられます。
年齢に応じたケアで生理痛を緩和しよう
一般的に生理は10~15歳から始まり、女性の一生のうち、生理がある期間は約35~40年間と言われています。それほど長い期間付き合っていくものだからこそ、ライフサイクルによる生理痛の変化を理解することは大切です。つらい生理痛を少しでも緩和するために、日頃の生活習慣に気をつけるととともに、年齢に応じたケアや治療を取り入れてみてはいかがでしょうか。