生理前のイライラや落ち込みがひどいならPMDDの可能性も

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生理前、心や体に何らかの不調を感じる女性は約50~80%といわれています。しかし、イライラして激しい怒りが続く、ひどく落ち込んで強い絶望感や不安感がある、突然悲しくなって涙が出たり、情緒不安定になる…。生理のたびに、こうした重い精神症状が現れ、日常生活が損なわれている場合、PMDD(月経前不快気分障害)かもしれません。今回はPMDDとは何か、またその症状や対処法について解説します。

PMDD(月経前不快気分障害)とは

生理前からイライラや情緒不安、頭痛、乳房の張りなどが現れ、生理が始まると治まる。こうした生理の3~10日くらい前から起こる身体的・精神的な症状を「PMS(月経前症候群)」といいます。

なかでも、特に精神症状が強く、PMSの重症型とされているのが「PMDD(月経前不快気分障害)」です。1年以上にわたって生理周期ごとに、うつ状態や不安、緊張、興奮、怒りなどの精神症状がほぼ毎回現れ、日常生活に影響がある場合、PMDDの可能性があります。

PMDDの主な症状

PMDDは、憂うつやイライラなど精神症状を中心に、体にもさまざまな不調が現れます。主な症状には以下のようなものがあります。

  • 激しいうつ状態や絶望感、自分に批判的になる
  • 著しい情緒不安(急に悲しくなり、理由もなく涙が出るなど)
  • 強い不安感や緊張感がある
  • イライラしたり、落ち着きがなくなる
  • 怒りっぽくなり、攻撃的になる
  • 集中力が落ちる
  • 物事への興味や意欲が低下する
  • 過食したり、特定の食べ物を食べ続けたりする
  • 睡眠過多または睡眠不足
  • 体がだるくて疲れやすい
  • 乳房の張りや痛み
  • 頭痛
  • 吐き気

PMDDを抱えている人には、感情のコントロールがきかなくなり、怒りっぽくなって対人関係で問題を引き起こす、情緒不安定で突然人前で泣いてしまう、理由のない強い不安や緊張を感じたりして、仕事や学校に行けないというケースもみられます。

PMDDはうつ病の一種とされており、治療が必要な病気です。PMDDかもしれないと感じたら、婦人科や精神科を受診してみましょう。

PMDDの治療法

PMDDの治療は薬物療法が一般的です。PMDDはうつ病と同じように、脳内の神経伝達物質であるセロトニンの減少が影響しているとみられています。そこで、抗うつ剤の一種で、セロトニンの減少を抑えるSSRI(選択的セロトニン再取込み阻害薬)を用いて治療します。また、比較的軽症だったり、身体的症状の具合など個々のケースに応じて、低用量ピルや漢方薬などで対応することもあります。

PMDDを緩和するセルフケア

PMDDは、ストレスや生活習慣の影響を受けて症状が悪化します。したがって、PMDDを緩和するためには薬での治療とともに、セルフケアも大切になります。

その一つとしてまず取り組みたいのが、生理日やどんな症状がいつ起きたかを記録すること。自分の生理周期を知れば、不調になりやすい時期が予測できるようになります。その時期を知っておくだけでも気持ちが楽になりますし、体に負担がかからないように予定を調整するといった対策もできます。

生活習慣では、バランスのよい食生活や十分な睡眠をとるようにしてください。特に糖分やカフェイン、アルコールの摂り過ぎは、症状を重くするので控えましょう。

また、ストレスを上手に解消することも大切。特にウォーキングやジョギングなど適度な運動はおすすめです。血液の循環がよくなり、脳や体の動きが活性化されるため、ストレス緩和に有効だとされています。

PMDDの疑いがあれば一度受診を

PMDDは精神症状が強いため、本人も病気とは気づかなかったり、周囲にも理解されにくく、つらい生活を送っている方も多いと思います。今回ご紹介したようなPMDDの症状に思い当たる点があれば、我慢せずに受診してみてはいかがでしょうか。

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