基礎知識

40代から生理痛が重くなった……これも更年期症状?

これまで生理痛(月経痛)に悩んだことがないのに、40代から下腹部痛や腰痛が起こるようになり、「更年期になって生理痛が重くなった」と感じる人もいるようです。40代はちょうど更年期に差しかかる時期ですが、これも更年期障害のひとつなのでしょうか。今回は更年期や更年期障害について解説しながら、40代以降で生理痛が重くなる原因をお話ししていきます。

更年期・更年期障害とは?

更年期とは閉経を挟んだ前後5年くらいの計10年間のことを指し、一般的には40代半ば頃から始まると言われます。ただし、早い人では30代後半から、遅い人では50代半ばから始まるなど、個人差があります。

40歳を過ぎた頃から女性の卵巣機能は低下し始めます。それに伴って、卵巣から分泌される女性ホルモンであるエストロゲンが急激に減少すると、ホルモンバランスや自律神経が乱れて、さまざまな症状が現れるのです。こうした更年期症状が日常生活に支障をきたすほど重い場合を「更年期障害」と呼びます。

個人差が大きい更年期症状

更年期の症状や重さは人によって違い、複数の症状を抱えている人もいる一方、自覚症状のないまま更年期を過ごす人もいます。症状はさまざまで200種類以上もあると言われていますが、なかでも代表的なものとして、以下の症状が挙げられます。

  • ホットフラッシュ(ほてり)、発汗
  • 冷え性
  • 疲れ、だるさ、倦怠感
  • めまい、立ちくらみ、耳鳴り
  • 頭痛、頭が重い
  • 不眠
  • 動悸、息切れ
  • 肩こり、腰痛
  • イライラ、不安

更年期に生理痛が重くなる原因

前章で述べたように、更年期症状は多岐にわたり、いわゆる生理痛で感じるような下腹部痛や腰痛が起こる場合も。更年期になると、エストロゲンが減少して、子宮が収縮したり、子宮内膜がはがれるときに、下腹部に痛みを感じることがあります。また、更年期の腰痛は、ホルモンバランスや自律神経の乱れによる血行不良や、エストロゲンの減少による骨密度の低下が関係していると考えられています。

痛みが強いなら病気の可能性も

ただし、痛みが強い、どんどん悪化するという場合は要注意。子宮内膜症や子宮筋腫、子宮腺筋症といった、子宮や卵巣の病気が隠れている可能性があります。これらの病気が進行すると、激しい生理痛が起こるほか、不妊の原因になったり、経血量の増加や排便時の痛み、貧血、めまいなど、さまざまな症状が引き起こされます。

生理痛に異変を感じたら早めに受診

40代以降の生理痛は、更年期症状の可能性もありますが、病気の危険性も高く、注意が必要です。特に40代は子宮や卵巣の病気が増えてくる年代。更年期はさまざまな症状が現れますが、何でも更年期症状だと自己判断すると、病気を見逃すことになりかねません。生理痛の悪化や異変を感じたら、早めに婦人科を受診するようにしましょう。

イライラやむくみ、眠気、便秘……生理の時期に現れる不調と対処法

生理前や生理中に起こる症状といえば、下腹部痛や腰痛などいわゆる生理痛(月経痛)が思い浮かぶと思います。しかし、生理に伴って起こる症状は、こうした“痛み”だけではありません。どんな症状が現れるのか。今回は生理の時期に起こる代表的な症状と対処法をご紹介していきます。

女性ホルモンの急変動が不調を招く

なぜ生理の時期は不快症状が現れやすくなるのでしょうか。まだはっきりとしたことはわかっていませんが、女性ホルモンが影響しているとみられています。

生理周期や女性の体をコントロールしているのが、エストロゲン(卵胞ホルモン)プロゲステロン(黄体ホルモン)という2つの女性ホルモン。生理開始~排卵までの「卵胞期」はエストロゲンが優位に働く一方、排卵~生理前までの「黄体期」になると、プロゲステロンが多量に分泌されるようになります。このホルモンバランスの急激な変動が、女性の体にさまざまな不調をもたらすと考えられています。

痛みだけじゃない!生理に伴う不快症状

下腹部痛や腰痛以外にも、生理の時期に起こる症状はさまざま。ここでは代表的な症状と対処法をご紹介します。

イライラ

女性ホルモンの分泌とともに、自律神経をコントロールしているのが脳の視床下部。女性ホルモンの分泌が乱れると視床下部が混乱してしまい、それに伴って自律神経も乱れて、イライラや情緒不安定が起こりやすくなるといわれています。

対処法

生活習慣を見直して自律神経を整えることが大切です。バランスのよい食生活を心がけ、特に甘いものの食べ過ぎはイライラを強めるので避けること。ストレスや疲れをためないようにし、リラックスして過ごすようにしましょう。

乳房の痛みや張り

生理前のエストロゲンとプロゲステロンの変動によって、乳管やその周りの組織が刺激されて拡張・増殖することで、乳房の痛みや張りが生じます。

対処法

食事面では、脂肪分やカフェインの摂取を減らすこと。また、海藻などに含まれているヨードが症状の緩和に役立つとされています。ストレスや睡眠不足も症状を強める一因ですので注意しましょう。

むくみ

生理前は、体内に水分を蓄える性質を持つプロゲステロンの分泌量が増えるため、体がむくみやすくなります。

対処法

冷えを防いだり、入浴やマッサージなどで血行をよくしてむくみを改善しましょう。むくみの原因となる塩分の摂り過ぎにも注意。

眠気

人の体は体温が下がるときに眠くなり、逆に上がるときに目が覚めるようになっています。プロゲステロンには体温を上げる作用があり、その分泌量が増える黄体期は体温が高い時期です。したがって、夜になっても体温が下がりにくく、寝つきが悪くなったり、眠りが浅くなるため、日中の眠気を引き起こす一因となります。

対処法

質のいい睡眠をとるために、夜更かしをせず、規則正しい生活を心がけること。寝る前のパソコンやスマホの使用も、睡眠を妨げるといわれていますので控えるようにしましょう。

便秘

プロゲステロンには、腸のぜん動運動を低下させる働きがあります。そのため、プロゲステロンの分泌が増える生理前は便秘になりやすいとされています。

対処法

腹筋を鍛えたり、ウォーキングなどの運動をすると、大腸の動きが活発になるため、便秘対策に有効です。食事では野菜など食物繊維の豊富なものを、積極的に食べるようにしてください。

ニキビ・肌あれ

プロゲステロンには皮脂の分泌を促す作用があるため、その分泌量が増える生理前はニキビができやすくなります。また、生理前は肌が敏感になっており、肌あれが起こりやすい時期でもあります。

対処法

油分の摂り過ぎに注意し、肌トラブルを防いでくれるビタミン類が豊富な野菜を中心に、バランスのよい食事を心がけましょう。

症状緩和にはセルフケアが大切

生理の時期に起こるさまざまな不調。「生理だから仕方ない」と諦める前に、セルフケアに取り組んでみましょう。特に食事や睡眠は重要であり、生活習慣の改善によって、ある程度症状を抑えることができます。それでも改善がみられず、生活に支障をきたすほど症状が重い場合は、治療の必要があるかもしれません。早めに婦人科を受診するようにしてください。

生理痛は年齢によって変わるの?

10代の頃は生理になると、強いお腹の痛みをよく感じていたのに、20代になったら症状が軽くなったような……。こうした年齢による生理痛の変化を感じた経験がある方は多いかもしれません。実は生理痛の症状や重さは年齢によって変わってくるのです。今回は、生理が起こる仕組みをおさらいしながら、年代ごとの生理痛の特徴を解説していきます。

年齢で変化する女性の体と生理痛

まずは、生理痛が起こる仕組みをここで簡単におさらいしておきましょう。

生理周期は、エストロゲン(卵胞ホルモン)プロゲステロン(黄体ホルモン)という2つの女性ホルモンによってコントロールされています。これらのホルモンの分泌量が、毎月のリズムを保って、変動することで生理が訪れるのです。ところが、ストレスなどでホルモンバランスが乱れると自律神経に影響し、生理中の不調、つまり生理痛が起こる原因になります。たとえば、下腹部痛や頭痛、腰痛、吐き気、下痢、貧血といった身体的なものから、イライラ、落ち込みなど精神的なものまで、症状は多岐にわたります。

また、女性ホルモンは毎月の生理周期のなかだけでなく、年齢とともに変動します。特に女性の生涯に大きく関わるのがエストロゲン。エストロゲンの分泌量が増減することで、10代の「思春期」、20~30代の「成熟期」、40代から閉経までの「更年期」を通じて女性の体は変化し、生理痛にも影響を及ぼします。

では次の章からは、年代ごとの生理痛の特徴を見ていくことにしましょう。

10代(思春期)の生理痛

10代など若い女性に多いのが、子宮の発達が未熟で子宮口が狭いことで起こる生理痛。そのため、経血を押し出す際に、子宮が強く収縮して、下腹部などに痛みを感じやすくなるのです。

また、10代はエストロゲンの分泌が不安定なため、強い生理痛が起こる「月経困難症」も多く見られます。10代の月経困難症は、病気が原因ではない場合がほとんどですが、「学校に行くのがつらい」「起きていられない」といった日常生活に支障をきたすような重い症状続く場合は、我慢せずに婦人科での診察を受けましょう。

20~30代(成熟期)の生理痛

20~30代はエストロゲンの分泌が順調になり、生理周期が安定。子宮や卵巣が成熟期に入り、女性の体は妊娠・出産に適した状態になります。この年代になると、子宮の発達や出産経験によって子宮口が広がり、生理痛が軽くなる人もいます。一方で、仕事など社会的責任が増える年代でもあり、ストレスや不規則な生活などによって体に負担がかかり、ホルモンバランスが乱れやすく、生理痛が悪化する場合もあります。

そのほかに気をつけたいのが、子宮内膜症や子宮筋腫などの婦人科疾患。これらの病気は20~30代に多くみられ、重い生理痛を引き起こします。たとえば、子宮内膜症になると下腹部痛などが生じ、生理のたびに痛みが強くなっていきます。日頃から生理痛の症状に注意し、検診を受けておくようにしましょう。

40代~閉経(更年期)の生理痛

40代半ばからは徐々に更年期に入り、閉経に向かって体が変化していく時期。更年期とは、閉経をはさんで前後5年ほどの計10年間を指します。この時期は、エストロゲンの分泌量が急激に低下して、ホルモンバランスが崩れ、体や心にさまざまな症状が生じるようになるのが特徴です。代表的な症状として、身体面ではホットフラッシュ(ほてり)、のぼせ、頭痛、肩こりなど。精神面では、イライラ、不安感、憂うつ感などが挙げられます。

年齢に応じたケアで生理痛を緩和しよう

一般的に生理は10~15歳から始まり、女性の一生のうち、生理がある期間は約35~40年間と言われています。それほど長い期間付き合っていくものだからこそ、ライフサイクルによる生理痛の変化を理解することは大切です。つらい生理痛を少しでも緩和するために、日頃の生活習慣に気をつけるととともに、年齢に応じたケアや治療を取り入れてみてはいかがでしょうか。