生理の時期になると、腹痛や頭痛になったり、イライラしたり……。こうした心身の不調が現れることから、多くの女性が悩みを抱えている生理痛。つらくても「生理痛だから仕方ない」と我慢している方が多いのではないでしょうか。症状を緩和するためにはまず原因を知ることが重要です。そこで、今回は生理が起こるメカニズムとともに、生理痛が起こる原因を探っていくことにしましょう。
生理痛の症状は人それぞれ
生理痛とは、生理中に起こる痛みや心身の不調を指します。たとえば、腹痛や腰痛、頭痛など痛みを伴うものをはじめ、イライラや無気力、落ち込みといった精神的なもの。そのほか不眠や下痢、吐き気など症状は多岐に渡ります。
症状の程度にも個人差があり、軽い人もいれば、なかには起き上がるのもつらく、学校や仕事を休まなければならないほど症状が重い人も。また、そのときのホルモンバランスによって、症状や程度も毎回変わってきます。
“ホルモンの急激な変動”で体調が変化
なぜ生理になると、体の不調が現れやすくなるのでしょうか。ここでは生理が起こる理由やメカニズムについて、簡単におさらいしながら、生理と体調の関係を解説していきます。
生理とは女性の体のなかで毎月行われている、妊娠のための準備です。子宮では、卵巣から卵子が排出される「排卵」に向けて、子宮内膜が徐々に厚くなり、受精卵を受け入れる体制を整えます。卵子が精子と結合すれば受精卵となり、子宮内膜に着床することで妊娠が成立します。ところが妊娠しなかった場合、子宮内膜は不要となってはがれ落ち、血液と一緒に「経血」として体外に排出されます。これが生理が起こる仕組みです。
こうした生理周期は約4週間を1サイクルとし、卵胞期、排卵期、黄体期、月経期の4つの期間から成り立ちます。生理周期を司っているのが、エストロゲン(卵胞ホルモン)とプロゲステロン(黄体ホルモン)といった2つの女性ホルモンであり、これらのホルモンの分泌量が変化することによって、子宮の状態とともに体調が変わってきます。特に排卵から月経期まではプロゲステロン分泌量が急激に変動し、体にさまざまな不調が発生するようになります。
痛みや不調をもたらす原因5つ
では生理痛はなぜ起こるのでしょうか。痛みを発生させ、症状を悪化させる原因として以下の5つが挙げられます。
プロスタグランジンの過剰分泌
生理痛の痛みの主な原因と考えられているのが、プロスタグランジンというホルモンです。プロスタグランジンは子宮を収縮させて、不要になった子宮内膜を血液とともに体外に押し出す働きをしています。ところが、その分泌量が多いと子宮の収縮が過剰になり、下腹部などに痛みが生じます。また、プロスタグランジンには痛みや炎症を強めたり、血管を収縮させる作用もあるため、頭痛や腰痛、冷え、肩こりなどの原因にもなります。プロスタグランジンの分泌量が生まれつき多い人もいますが、食事や生活習慣などの影響も大きいと言われています。
子宮の発達が未熟
若い女性や出産経験のない女性の場合、子宮が未成熟で子宮の出口が狭く、体外に経血をスムーズに排出しにくい場合があります。そのため、より強く子宮を収縮させて経血を押し出そうとすることで、下腹部に痛みが発生してしまうのです。このケースの場合、出産を経験して子宮口が広がったり、20~30代になって子宮が成熟すれば、生理痛が軽くなる人もいます。
冷えなどによる血行不良
体が冷えたり、長時間同じ姿勢での作業、体を締め付ける服装などは、血流を悪化させる要因。特に生理の時期は、子宮の周りに血液が滞りやすくなるため、プロスタグランジンが骨盤内に残ってしまい、下腹部や腰回りに痛みや重苦しさを感じるようになります。
ストレスによる自律神経の乱れ
自律神経は、活動的なときに優位に働く「交感神経」と、リラックスしているときに優位に働く「副交感神経」がバランスよく切り替わることで、血液の循環や体温調節などさまざまな体の機能が維持されています。強いストレスによって、心身の緊張状態が続くと、交感神経だけが働き続けて自律神経のバランスが崩れてしまいます。その結果、血行不良や女性ホルモンの分泌が乱れ、生理痛を悪化させる原因となるのです。
子宮の病気によるもの
「生理痛の痛みがひどい」「生理が来る度に症状が重くなる」といった場合、子宮内膜症や子宮筋腫などの病気が背景にある可能性があります。これらの病気になると、下腹部などに強い痛みが発生するだけでなく、不妊や流産にも関わってくるため、早めの治療が必要になります。
日頃からの対策で症状を和らげよう
つらい生理痛の症状を和らげ、憂鬱な生理の時期をできるだけ心地よく過ごすためにも、日頃からの対策が重要と言えます。たとえば、食事や過重なストレス、過労、睡眠不足などに注意して、体調を整え、体をいたわること。特に生理中は体が冷えるのを避けたり、つらいときは無理をしないようにしながら、生理痛と上手く付き合っていきましょう。