ひどい生理痛は病気のサイン?疑うべき3つの病気を解説

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生理痛の症状や程度は、軽い人もいれば、重くてつらいという人まで個人差が大きいもの。でも「生理痛は病気じゃないから……」と我慢するのはよくありません。日常生活に影響が出るほど生理痛がひどい場合は、何らかの病気が潜んでいる可能性があるのです。そこで今回は、重い生理痛を引き起こす代表的な3つの病気について解説していきます。

重い生理痛を招く三大疾患

生理(月経)のたびに症状が重くなる、痛み止めが効かなくなってきた、生理期間以外も痛みがある場合は要注意。このように、日常生活に支障をきたすほどひどい生理痛(月経困難症)は、子宮などの病気が原因かもしれません。

月経困難症を引き起こす三大疾患が、子宮内膜症、子宮筋腫、子宮腺筋症です。それぞれどんな病気なのか、次の章から詳しく見ていくことにしましょう。

【三大疾患その①】子宮内膜症

患者数は増加傾向!生理のたびに症状悪化

子宮内膜症は、子宮内膜に似た組織(子宮内膜様組織)が子宮の内側以外の場所(卵巣や腹膜など)で発生して、生理のたびに増殖・悪化する病気。通常は生理が来ると、子宮内にある子宮内膜は体外に排出されますが、子宮以外の場所で内膜組織が発生してしまうと、出口がないため、体内にたまって炎症や痛みを引き起こします。発症は20~40代と幅広い年代にみられます。

子宮内膜症は年々患者数が増加しており、特に注意したい病気です。患者数が増えている理由として考えられるのが、女性のライフスタイルの変化に伴う生理回数の増加。現代の女性は晩婚化や出産回数の減少などによって、昔より生涯における生理回数が多くなっています。子宮内膜症は生理を繰り返すことが原因で起こるため、現代女性は子宮内膜症の発症リスクが高くなっているのです。

主な症状:生理痛などの強い痛みや不妊症

代表的な症状は、生理痛をはじめとした痛みと不妊。生理痛は子宮内膜症患者の約90%にみられ、生理時以外の腰痛や下腹部痛、排便痛、性交痛など、痛みを訴える人が多いのが特徴です。また、子宮内膜症患者の半数に不妊症がみられるという報告もあります。

手術後も残る再発リスク

軽症・早期の場合は、ホルモン剤で排卵を止めて子宮内膜の増殖を抑えることで、病気の改善をはかります。ホルモン剤でも改善しない、または重症化している場合は手術を行います。手術には病巣部のみを切除したり、病巣部に加えて子宮や卵巣を摘出する方法があり、重症度や年齢、妊娠の希望によって選択します。

ただし、子宮内膜症は手術を行っても生理がある限り、再発する可能性が高いので、再発をぐために、手術後もホルモン剤での治療を続ける必要があります。

【三大疾患その②】子宮筋腫

女性の4人に1人が持つ良性の腫瘍

子宮の壁の部分(子宮筋層)に良性の腫瘍(こぶ)ができるのが子宮筋腫。特に30代以降になると増える病気です。成人女性の4人に1人が筋腫を持っていると言われていますが、筋腫が小さいものだったり、できた場所によっては自覚症状がなく、気づかないことも少なくありません。筋腫は複数個できることが多く、数や大きさもさまざまです。筋腫自体は生命を脅かすものではありませんが、腫瘍が大きくなるにつれて痛みが現れたりします。

主な症状:過多月経や生理痛など

筋腫ができる場所によって異なりますが、代表的な症状は、月経量が多くなる(過多月経)や生理痛、貧血など。そのほか、生理時以外の出血、腰痛、頻尿なども起こりやすくなります。

無症状なら経過観察で済む場合も

特につらい症状がなく、子宮の状態に問題がないようであれば、経過観察で様子を見ます。ある程度進行している場合は、鎮痛剤や造血剤で症状を軽くしたり、ホルモン剤を用いて筋腫を小さくしていきます。手術を実施する場合は、筋腫の場所や大きさ、年齢、妊娠の希望によって、筋腫のみの切除もしくは子宮の全摘出といった方法を選択します。

【三大疾患その③】子宮腺筋症

内膜組織が増殖して子宮全体が肥大化

子宮腺筋症は、子宮内膜様組織が子宮の壁(子宮筋層)の中で増殖する病気です。特に40代以降の女性に多くみられます。内膜組織が増殖を繰り返すと、周りの筋肉がかたくなり、次第に子宮筋層が厚くなって、子宮全体が大きく膨らんでいきます。

子宮腺筋症は、子宮内膜症や子宮筋腫と似ていますが、内膜組織ができる場所や肥大化する部分で違いがあります。内膜組織が「子宮の内側以外の場所」にできるのが子宮内膜症、「子宮の壁(子宮筋層)」にできるのが子宮腺筋症です。肥大化する部分では、子宮筋腫が「子宮の一部」、子宮腺筋症が「子宮全体」という点で異なります。

主な症状:生理痛や過多月経

主な症状は、生理痛や過多月経、貧血など。生理時以外にも下腹部痛や排便痛、性交痛が起こることもあります。

手術の場合は子宮全摘出が一般的

症状がそれほど強くない場合や妊娠の希望がある場合は、ホルモン剤での治療が中心となります。手術の場合は、子宮腺筋症は子宮全体が肥大化することが多く、正常な部分と病変のある部分の区別がつきにくいため、子宮を全部摘出する方法が一般的です。

骨盤部の炎症やうっ血が原因の場合も

これまでにご紹介した三大疾患以外に、以下のような骨盤内の病気や異常によって、重い生理痛が起こる場合もあります。

骨盤内うっ血症候群

骨盤内うっ血症候群は、骨盤内で静脈がうっ血(血液が停滞して充満する)した状態を言います。これによって、骨盤部に激しい痛みが生じたり、腰痛、脚の痛み、生理の異常出血などが生じます。骨盤部に痛みがあるにも関わらず、炎症やその他の異常がみられない場合に、骨盤内うっ血症候群が疑われます。

細菌の感染による骨盤内炎症

クラミジアや淋菌などの細菌に感染して、卵巣や卵管など骨盤部に炎症が起こるのが骨盤内炎症です。主に下腹部痛や微熱などの症状が現れます。近年、中高生の性交経験率の上昇に伴い、クラミジア感染の頻度が高くなっており、これに起因する若い女性の月経困難症が増加しています。

見逃さないで!生理痛は病気のサイン

生理痛は病気を知らせてくれるサインです。特にひどい生理痛やこれまでと違う症状や異変を感じた場合は注意してください。「ただの生理痛」だと思って、見過ごしてしまうと、病気の発見が遅れて重症化し、治療が困難になったり、不妊につながる危険性もあります。日頃から自分の体の変化に気を配るようにし、生理痛に何らかの異常を感じたら、早めに婦人科を受診することが重要です。

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